▲幌尻岳(ぽろしりだけ)2052m
〜 日高山脈の最高峰、「百名山の聖地」へ 
2005年7月28日(金)〜30日(日) 登頂回数1
晴れ GPS軌跡

幌尻岳は、日高山脈の最高峰であり、「ポロ・シリ」とは、アイヌ語で「大きい・山」を意味する。この山は、日本百名山の中でも「最難関の山」かもしれない。それは、コースタイムが長い上、徒渉があり、雨が降ると沢が増水し、登下山できなくなってしまうからだ。又、登山口への交通手段がなく、アプローチの悪さでも有名だ。その為、マイカーかタクシー又はレンターカー利用で登山口へ入るしかない。さらに、日高山脈と言えば、ヒグマの存在が気になる山域。このように、この山は思いつきなどでは登れない。それなりの計画と覚悟が必要なのだ。この山を「百名山の聖地」という人もいる。

2004年夏、百名山を達成すべく、単独での北海道遠征を実施した。天候にも恵まれ、順調に北海道の百名山を登頂していった。百名山登頂数も99座となり、残すは幌尻岳となった。しかし、その年、幌尻岳に登ることはなかった。前年の台風10号被害により断念せざるを得なかったのだ。幌尻岳登山口へと続く林道が通行不能となっていた為である。百名山達成目前にしての登頂断念であった。

2005年、林道復旧作業も完了し、なんとか幌尻岳登山口までのアプローチが可能となった。しかし、登山口である林道ゲートまで、車の進入ができない。その2.5km手前の仮ゲートまでしか車で入れないのだ。ただでさえコースタイムの長い幌尻岳だというのに、さらに往復5キロも増えるなんて・・・。時間にして2時間増だ。できれば日帰りでの登頂を考えているなだけに、厳しい条件となってしまった。

以前から、この幌尻岳登頂計画の実行は、台風の少ない7月と決めていた。旅行会社で航空券・レンタカー付き二泊三日のチケット(一泊は車中泊)を購入。やはり、夏休み期間に入っているという事もあり、少々高額だった。帰りの飛行機の便が決まっているだけに、この2日間に賭けるしかなかった。台風や大雨による増水で額平川が増水してしまえば、お終いである。祈るような思いで出発。

今回は、奥さんと二人での山行。二人で山を歩くのは、昨年の利尻岳以来である。28日の早朝、関西空港を出発。熊避けスプレー等、機内へ持ち込み出来ない装備は、事前に千歳空港へ送っておいた。千歳からは、レンタカーを利用する。ゆっくり観光しながら登山口を目指したいが、あまり時間もないため、登山口へ直行することにした。平取町振内の国道237号から脇道に入り、川沿いに狭い道を走ると、未舗装の林道となる。そこから延々30分以上も走り続けると、仮ゲート登山口に着いた。慣れないレンタカーでの林道走行は、嫌なもんである。愛車のプラドならば、底を擦ることなんて気にしないのだが、今回のレンタカー(モビリオ)では、やはり気になってしまう。登山口には、午後6時前に到着。この日は、仮ゲート登山口の駐車場にて車中泊。早朝、2時半出発という事もあり、簡単に夕食を食べて寝ることにした。

起床は、午前1時。素早く朝食をとり、登山の準備を進める。勿論、外は真っ暗だ。ヘッドランプと巨大懐中電灯で手元を照らしながら、準備を急ぐ。この時間帯、最もヒグマの活動が活発である。熊対策として、熊避けスプレー、カウベル(一人2個)、ホイッスル、爆竹を用意した。

出発は、午前1時50分。天気は良い。上空には、満天の星空が広がっていた。気持ちも上向きである。真っ暗な林道をヘッドランプと巨大懐中電灯の明かりだけを頼りに歩き始める。あまりにも静か過ぎる林道で、聞こえてくるのは、賑やかなカウベルの音と自分達の足音だけだった。黙々と林道終点を目指した。所々で、ホイッスルを吹きながら・・・。

以前の登山口であるゲートまでは、40分程かかった。そこから、延々と続く林道を、ひたすら歩く。登山道が始まる取水口到着は、午前3時32分。夏の北海道は、日の出が早く、午前4時前なのに明るい。ここまでは、良いペースである。ここから右岸の登山道を40分程歩くと、渡渉開始地点に着く。水量も少なく、流れも緩やかだ。とにかくこれを見た瞬間、安心した。今回、一番、気がかりだったのが、この額平川の水量だったからだ。渡渉開始地点からは、アクアシューズに履き替え、15回以上もの渡渉を繰り返しながら、幌尻山荘を目指して登っていく。北海道の水温は、低く、足が凍りつきそうで痛かった。ルートは、忠実にペンキマークや赤テープを辿れば良い。ちなみに奥さんは、渡渉開始地点で、いきなり足を滑らせ、流されていた^_^;

幌尻山荘到着は、午前5時55分。ここでしばらく休憩し、登山靴に履き替えてから出発する。渡渉で足を冷やしたのか、かなり寒そうな奥さん。じっとしていても寒いだけなので、登り始める。山荘横の登山道に入り、一路、幌尻岳山頂を目指す。

トドマツ、エゾマツの針葉樹林帯の急登を1時間程登ると、尾根に出る。尾根まで来ると、額平川源流を隔てて、戸嶌別岳が見えるようになり、眺望を楽しみながらの登山となる。この辺りから山頂までの間、早朝から幌尻山荘を出発し、幌尻岳の山頂を踏んで来たと思われる数組の登山客らとすれ違う。途中、「命の水」と言われる水場があるものの、水はたっぷり持参しているので、ここはパス。登山道は、徐々にハイマツ帯となり、視界が一気に開けてくる。この辺りから、カールを挟んで幌尻岳の山頂が見えてくる。この日の天候は、すこぶる良く、本当に気もち良かった。今回の山行では、この山域に多く生息するナキウサギに出会える事も楽しみにしていたが、残念ながら見つける事ができなかった。高山植物に囲まれた、気持ち良い尾根歩きを楽しみながら、山頂を目指す。右下に幌尻湖が見えるようになると、山頂は近い。

山頂到着は、午前9時11分。長かった。ついに念願の幌尻岳山頂に立つ。百名山達成である。感動のあまり、言葉がない。幌尻岳・・・百座目に相応しい山だった。百座目に登ることが出来てよかった。心からそう思った。登頂の余韻に浸りながらゆっくり寛いだ。戸嶌別岳の雄姿が印象的だった。下山も長丁場になる為、山頂でそうゆっくりもしてられない。目の奥に、山頂からの眺望を焼付けるだけ焼付け、下山にかかる。

下山は、往路を下る。幌尻山荘までは、順調に下山。山荘からは、渡渉とあの長い長い林道歩きが待っている。アクアシューズに履き替えて、額平川に飛び込む。冷たい思いをしながら、林道を目指す。林道まで来ると、あとは登山口目指して、ただ歩くのみである。幌尻岳を登頂してからの、この林道歩きが本当に辛かった。奥さんは、「ピンクの車が見える〜。」とブツブツ言いながら、頑張った。どうやら幻覚を見たらしい(>_<)←ホンマかいな!ま、とにかく辛い林道歩きを無事終え、午後4時25分、登山口へ戻ってきた。登山口へ着いた途端、大粒の雨が降ってきた。大雨である。辺り一面、一瞬にして水溜りだらけとなった。ダートの林道は、まるで洪水を起こした川のようになっている。「なんて強運なんだろう・・・。」もう1時間、下山が遅ければ、額平川の増水が始まっていたと思うと、ゾッとする。又、この計画が1日遅ければ、間違いなく日帰りでの登頂は、不可能だっただろう。

川のようになった林道を慎重に運転する。目的地は、アイヌの聖地として有名な二風谷の外れの高台にある平取温泉。ここは、特産の平取牛が食べられる温泉としても有名。ここで、ゆっくり入浴し、疲れを癒す。入浴料450円と安いが、露天はない。泉質は、含硫化水素・食塩−重曹泉。ちょっと熱めのお湯だったが、疲れた身体には丁度良かった。

入浴後、この日の宿泊地である日高ケンタッキーファームへ向かう。ここは、平取温泉から車で30分程の距離にあるので、疲労困憊の僕らには丁度良い場所。この日は、コテージ風の可愛い部屋に宿泊。到着も遅く、疲れていたので、レストランでジンギスカンとソーセージの盛り合わせをモリモリ食べて、即爆睡モードへ・・・。本当に疲れ果てた1日だったが、それ以上に達成感と満足感で満たされた1日でもあった。

翌日は、ケンタッキーファーム内で乗馬や散策をしたりして、ゆっくり時間を過ごした。

無事、百名山達成を果たし、帰宅できる。昨年、悔しい思いをしただけに、この幌尻岳登頂は、涙が出るほどに嬉しかった。

夕方の便で、大阪、伊丹空港へ向け出発。

今回は、感動の幌尻岳登頂となった。百名山達成までに御協力いただいた、クラブのOBや山仲間に感謝したい気持ちで一杯である。

又、今年の目標である関西百名山、近畿百名山の同時達成は、あと残り一座だ。次回の8月末に予定している山行で、近畿百名山の残り一座となる三国岳を目指す。

幌尻岳山頂
三角点
戸嶌別岳
幌尻岳
チングルマ
渡渉
幌尻山荘
林道終点 取水口














































































































★山行記録★

山行時間:13時間45分
2:40 仮ゲート登山口
2:22 ゲート登山口
3:32 取水口
10分 休憩
4:19 渡渉開始地点
15分 休憩
5:55 幌尻山荘
10分 休憩
9:11 幌尻岳
20分 休憩
11:50 幌尻山荘
10分 休憩
13:34 渡渉開始地点
10分 休憩
14:36 取水口
15:48 ゲート登山口
16:25 仮ゲート登山口



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