▲毛勝山(けかちやま)2414m
〜長大な雪渓を登り、憧れの山頂に立つ〜
2006年5月21日(日) 登頂回数1
晴れ


毛勝山は、剣岳の北方に位置する標高2414mの山である。登山道はなく、通常は春の残雪期に雪渓を経由して登られる。毛勝山、釜谷山、猫又山の三つのピークがあり、毛勝三山と言われる。以前は残雪期しか登られなかった山だったが、近年、夏道が完成した。しかし、この毛勝山は、巨大デブリが沢を埋め尽くす残雪期ならではの醍醐味がある。日本三大雪渓で知られる白馬岳の雪渓は、標高差600m、この毛勝山は最終堰堤から1400m、規模は段違いに長大である。しかも、均傾斜40度以上が800m続く雪渓の急登が控えている。

当初は、4月の下旬に計画していた毛勝山。しかし、この年の残雪は多かった。昨冬の日本海側は、20年ぶりの豪雪で残雪も多く、雪解けの遅れが目立った。登山口となる片貝山荘までは勿論、片貝第二発電所までもが通行不能となっていた。なんとか第二発電所からでも日帰りが可能だが、積雪量も半端じゃない。毛勝山登山は、GW明けに計画変更することにした。GWが明け、除雪作業も進み、なんとか第四発電所まで入れるようになった。それでも第四発電所である。通常ならこの時期、片貝山荘までは除雪されている。運がよければ、その先の車止めまで乗り込む事ができるのである。いかにこの地方の残雪が多いかが、分かると思う。

毛勝山は、大学時代の後輩である五百住君同行である。長野在住の彼とは、片貝第四発電所の先、車で入れる限界の駐車スペースにて待ち合わせることにした。事前にネットで情報を集めていたが、確かに第四発電所の先は大きなデブリの為、通行止め状態となっていた。第四発電所から約1kmの所でストップ。この場所で五百住君を待ちながら、仮眠を取る。午後、10時過ぎに五百住君が到着。簡単に明日の打ち合わせだけして、車内にて就寝。明日の予報は、晴れ。気分は上向き♪気合を入れて寝ることに。

21日は、3時15分起床。手早に朝食を取り、出発の準備にかかる。ここから毛勝山の往復となれば、長丁場となる。できるだけ早い出発が求められた。同行の五百住君とヘッドランプを付けながら出発したのは、午前3時53分。勿論、真っ暗である。ひたすら林道を片貝山荘目指して歩く。林道には巨大な落石やデブリが多く、それを回避しながら進む為、予想以上に時間がかかった。山荘到着は、午前4時33分。辺りが薄っすらと明るくなってきており、もうヘッドランプは必要なかった。山荘の先で大きなデブリが林道を塞いでおり、200mぐらいに渡って片斜面を横断するのだが、雪の斜面がそのまま片貝川に切れ落ちていた。注意しながら通過する。デブリの先で東又谷を橋で渡り、阿部木谷に入る。残雪の中から所々で林道が顔を出していた。程なく宗次郎谷との分岐点にさしかかる。宗次郎谷を右に分け、阿部木谷の本流を歩く辺りから先は、完全に残雪が残っており、キックステップで足場固めながら着実に進む。取水口となっている堰堤の先からは、水の流れも雪渓に隠れる様になり、谷を埋め尽くす雪面を進む事になる。この辺りで、僕たちの後方を歩いていた二人組のパーティに追いつかれる。この二人、兎に角、早かった。結局、山頂には一番乗りだった為、彼らに抜かされる事はなかたっのだが、かなり体力のある登山者なのだろう。さて、標高1000m付近で谷は大きく右に折れるが、この付近は谷幅が狭くなっている「板菱」と呼ばれる場所で、落石の要注意箇所である。雪渓の上には、無数の落石が散らばっていた。

板菱を過ぎると、暫らく直線状の雪渓を進む。雪面が絞まっていて歩き易い。未だアイゼンは着けていないが、このままでもう少し行けそうだった。先の大明神沢出合に、マメ粒のようにしか見えなかったが、団体登山客がいるようだった。恐らく、昨晩から片貝山荘で宿泊していたパーティーであろう。大明神沢出合手前で、アイゼンを装着。アイゼンなしで頑張っていたが、急斜面の為、靴底のスベリが大きくなり、体力の消耗が激しかったからである。アイゼンを装着し、快調に登る、登る、登る・・。同行の五百住君とは、適度な距離を保ちながら、毛勝谷へ進入していく。大明神沢出合から約30分で二股と呼ばれる地点に達するが、実際には3つの沢筋がここで合流している。ここで先を歩いていた団体を追い越し、先頭を行く事になる。この辺り、無数のデブリが走る。兎に角、雪崩の巣なのである。この時期、多少、雪崩の危険もあるが、落石が怖い。左右の斜面から聞こえる音や雪の状況を確認しながら、慎重に登る。二又からボーサマ谷へ入り、いよいよ急登が始まる。「さあ!傾斜40度の800m区間を楽しもう!」気合を入れて、稜線を目指す。

二股からの稜線までの中間地点で、雪渓が右にくびれるのだが、この辺りからが斜度が最もきつくなる。一旦滑落したら止まるのが難しそうな斜面。アイゼンとピッケルで確実に支点を取りながら登る。斜度にして40度以上ありそうだ。見上げると真青な空と、湾曲した稜線部の真っ白な雪渓が美しい。雪渓が右に曲がる手前で、山頂への直登ルートを考え、稜線手前で正規ルートから、やや左寄りで稜線を目指す。このルートの斜度は、確実に45度以上あるだろう。ピッケルのブレードを雪壁の奥まで差込んで確保し、ゆっくり登高を続ける。

雪壁をクリアし、その先のブッシュとなる斜面を登りつめると、稜線に出た。稜線では素晴らしい眺望が僕たちを待ち構えてくれていた。釜谷、猫又と続く毛勝三山の向こうに岩の殿堂剣岳。鹿島槍岳・五竜岳から白馬に至る後立山の稜線がコバルトブルーの空によく映えている。この眺め、苦しかった雪渓登りの疲れも吹き飛ぶ、神々しさすら感じる絶景だった。

山頂では、ゆっくり写真撮影や休憩をして過ごした。又、僕たちの後方を猛烈な勢いで迫っていた二人組の夫婦も15分遅れで到着した。

山頂から毛勝谷を眺めると、かなりの登山客が列をなして登っている。休日という事もあり、この毛勝山も大混雑である。やはり、毛勝山は残雪期に登るのが良い。今は、毛勝山への夏道も完成したようだが、毛勝山の醍醐味を味わう為にも残雪期に登るが望ましいのであろう。いつか機会があれば、夏道を歩いて再登したいものである。

往路は、毛勝谷をグリセードで一気に下った。下山中、かなりの登山客とすれ違う。又、僕たちが登ったコースをザイルを使い、苦戦しているパーティーもあった。

下山後、魚津ICに程近い、金太郎温泉で汗を流した。ここは、地下約1000mの掘削により湧き出た含塩食土類硫化水素泉。湯量豊富な75度の天然温泉。硫黄の香りが立ち込める温泉は、その効能の豊かさを物語る。300坪の露天風呂、500坪の銘石大浴場の規模の大きさには驚いてしまう。湯量も豊富で贅沢な温泉気分を満喫できた。お勧めの温泉である。兎に角、泉質が良かった。

今回の毛勝山は、天候にも恵まれ、充実した山行となった。同行の五百住君、本当にありがとう。


【毛勝山頂にて】


【毛勝谷】


【剣岳】


【三角点と石仏様】


【最後の雪壁を登る】


【五竜岳(左)と鹿島槍ヶ岳】


【片貝山荘】
★山行記録★
山行時間:8時間33分
3:53 駐車スペース
4:33 片貝山荘
5:10 最終堤防
8:45 毛勝山
40分 休憩
11:25 最終堤防
12:05 片貝山荘
12:26 駐車スペース



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